http://d.hatena.ne.jp/umedamochio/20061105/p1

いちばん大事なことは確信です。自分には物語を語る能力があるのだ。自分が語っていることは必ず水脈に突き当たるのだという確信です。幾つかの要素はやがてパズルのようにきちんと組み合わされるのだという確信です。その確信がなければ、あなたはどこに行くこともできないでしょう。長編小説を書くことはボクシングをするのに似ています。一度リングに上がったら、引き返すことはできません。一度そこに上がったら、とにかく最後までやりとげるしかないのです。(中略)

僕は物語の力というものを信用します。物語が我々の精神の中に引き起こす作用というものを信用します。それは古来から我々が引き継いでいるものです。ジョン・アーヴィングがかつてこんなことを言いました。「良き物語というのは麻薬注射のようなものだ。君が読者の静脈にいいやつを注射できたら、彼らは列を作って君のところに次のを買いに来る。批評家が何といおうと誰も気になんかしない」と。かなりひどい例えだとは思いますが、彼の言うことはあたっています。(p97-98)