瀧本幹也 「SIGHTSEEING」

SIGHTSEEING

SIGHTSEEING

この写真集のおもしろさを端的に語る文章を見つけた。

「一番その都市らしさがでている場所」を写そうとするならば、それはまさしくツーリストの観光写真である。もちろん名所旧跡が対象になっていないからこそ観光写真なのである。(snip)我々がどんな自意識を持とうとも、もはやツーリストとならずに旅行することはないのである。観光客が名所旧跡で記念写真を撮るのは、まさに予め知っていた場所へ実際にやってきた「記念」「証拠」としてであって、名所旧跡が「その都市らしい」からではない。誰でも名所旧跡が観光地化していることを知っている。誰が、そんな場所を「その都市らしい」と思うだろうか。

清水穣 白と黒で―写真と…

だからこそ観光地は瀧本幹也を通して「写真」となった。観光地を写した写真こそが面白いのだ。
そこに写る日常を離れた行動を取る人々の画一性に、すこしだけぞっとする。