中藤毅彦 Fragments of reality


東京運河沿いの古いいい雰囲気のビルの中にあるちいさな古書店での展示。写真はブルガリアの美術館に出したものからだそうな。タイトルはその展覧会の名前かららしい。
低い位置からぐっと差し込む強い光がハイライト側のトーンとぐっと落ち込む影が中藤節。「緯度の高い場所があうよね」という師匠の言葉を思い出す。家に飾るのならホームの写真だけど、DMにもなっているおそらくはホームレスだろうおっさんの笑顔の裏にある幸せのかたちに思いを馳せた。


中藤さんを評して「森山大道は二人いらない」なんてどこかのだれかがいったらしいけど見る目がないにもほどがある、とおもった。モノクロ写真にとって粒子をどのように扱うかは、カラーでどのような色彩を使うかと同様に写真家の世界観をあらわすものだ。森山大道の「アレ・ブレ・ボケ」だってウイリアム・クラインの影響を受けていることは周知の事実だし、ふたつの写真展を通してみると違いが強調される。特別なことじゃなく比べれば、誰でもわかるようなことだとおもうんだけどなあ。まあ、森山全盛期の人たちの場合は森山コピーを山ほど見ているから、冷静に受け入れる前にお腹いっぱい感が出ることは理解できなくはないけど。